駐在員雑感(第8回)「初めての結婚披露パーティー」

  • 投稿日:2005.03.14
    • 002:職員コラム

私が以前上海で勤務していた頃の同僚(中国人男性)の結婚披露宴に招待された。それも家族全員。彼は、当時私の二人の娘(当時5歳と3歳)を大変かわいがってくれたのを覚えている。
彼の伴侶となる女性は高校の数学の教師で、なかなかの美人であった。馴れ初めはお見合いとのことであるが、美男美女の似合いのカップルである。
私はかねてから中国式の披露宴に参加したいと思っていた。念願かなって参加した披露宴は以下のとおりであった。

招待状に、「17:30開始」と記載されていたので、17:20頃会場に到着した。
会場は、上海市内の高級ホテルの宴会場。会場の入り口で新郎新婦が出迎えてくれた。新郎はタキシード、新婦は純白のウエディングドレス。
受付を済ませ、会場に入る前に新郎新婦と記念撮影をした。何枚か写真を撮ったあと会場に入った。開始時刻が迫っているのに、席についている人は半分以下であった。
徐々に招待客が会場に入ってきて、ようやく始まったのは18:30であった。
招待客は150人程度。(招待客は150人~200人程度(テーブル20卓程度)が普通のようである。)服装はみな普段着。我が家のようによそ行きの格好をしている人は少なかった。
ただ、新郎が日系の企業で働いている関係で、日本人女性は和服での参加者もあり、中国人が一緒に写真をとる風景が見られた。やはり、日本伝統の「和服」は人気があるようだ。

いよいよ披露宴がはじまった。

1 まず、新郎新婦が音楽に併せて入場し、ひな壇に上がる。しかし、ひな壇に新郎新婦の席があるわけではない。立ったままである。(新郎新婦の席は一般客と同じ円卓にあった。)

2 司会者の進行により、まず新郎が招待客に対して挨拶を行う。

3 次に、新郎おじが挨拶。新郎新婦の馴れ初め等を紹介。

4 新郎新婦の両親が登壇し、新郎新婦からそれぞれの両親に花束を贈呈。

5 新郎の父親がお礼の言葉を述べる。

6 新郎が新婦の両親にお礼の言葉・誓いの言葉を述べる。

7 指輪の交換。

8 ケーキカット。

9 交杯酒(これが中国の披露宴には欠かせない儀式で、新郎新婦が腕を絡めて酒を飲む。)

10 乾杯と進んで行く。

11 乾杯のあとは、日本と同じような宴会となる。

12 その後、新郎新婦は各テーブルに酒をついで回る。その際なぜかタバコを勧めるのである。私も普段は吸わないがめでたい席でもあり、勧められるまま1本頂いた。

それから、新婦は日本同様にお色直しをする。はじめは純白のドレス、その後は藍色、その後は真っ赤なチャイナドレスだった。
ここまでは、順番の違いこそあれ日本となんとなく似ていると感じたが、披露宴からの退席の仕方は、日本とはまったく違っている。料理がすべて出尽くして、ある程度食事が済むと、招待客は三々五々席を立ち新郎新婦に挨拶をして帰って行くのである。日本のようにきちんとしたシナリオがあり、最後に涙をそそるような仕掛けで終わるのではなく、頃合を見計らって自分から退席するのである。まさに中国的な終わり方である。最後に帰る人は誰なのだろうと私は余計な心配をしてしまった。

つまり、乾杯以降は、中国式の通常の宴会と同じで、特別な演出があるわけではなく、勝手に食べて飲んで楽しんで、帰りたいときに帰るということのようである。
私が体験した中国の披露宴はざっとこのようなものであった。

それから、ご祝儀は、通常1人500元程度(6,500円)と聞いた。しかし、我が家は4人の招待であり、4人分プラスαを包んだ。また、引出物等のお土産はなく、「囍糖」と呼ばれるチョコレートを各招待客に配る。さらには、日本で言う「結婚式」(神前、仏前等)はないとのことである。(聞いた話なので確かではない。)
その他驚いたことに、上海では、結婚するために男は新居となるマンションを購入しなければならないそうだ。上海ではこれが常識のようである。上海の男は大変である。
ともあれ、我が家にとっては大変貴重な体験であった。
彼らのこれからの末永い幸せを家族一同祈って止まない。

2005年3月14日
福島県上海事務所 安達和久
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