指紋での買い物

  • 投稿日:2007.11.02
    • 003:上海地域アドバイザーレポート

各方面においてハイテク化が進む上海では10月11日から指紋で買い物ができるようになりました。指紋認証技術の応用で、民生化された例としては、シンガポールとシカゴに次ぐ世界で三番目ということです。今回の経済レポートではこの新しい買い物の方式を簡単に紹介したいと思います。

指紋買物方式の利用方法と利点
上海「立佰趣」(Live by touch)公司は、上海でバイオメトリック(生物学的な特徴を使用して個人を識別するための新しい技術)を研究開発する会社ですが、同社と中国農業銀行上海市支店とが共同で、中国で初めて指紋による買物システムを開発導入しました。
この業務は今のところ、1日8,000人以上の申し込みがあるということですが、利用可能な箇所は、ファミリーマートを含む一部のコンビニエンストア、デパート、喫茶店など千店舗前後で、対応できる地域もまだ狭いようです。しかし、新しい物事を好む上海市民の間ではすでに大きな話題となっています。
このシステムを利用するための登録方法ですが、まず、中国農業銀行の指定された支店に出向き、利用者の指紋を登録する必要があります。指紋を3回登録し、さらに自分の指紋とリンクする7桁の個人識別コードを登録すればOKです。
実際に利用者が買い物をする時は、店頭の指紋識別装置に指紋登録をしている指をのせ、個人識別コードを入力すれば支払いがすぐに完了します。「5秒で買い物ができる」のキャッチフレーズのとおり大変便利で迅速に買い物をすることが出来ます。

simon.jpg●写真は店頭で使われている指紋識

指紋買い物方式の利点については、前述したように迅速に買物が出来るということでしょう。
中国では、クレジットカードに関するスキーミング犯罪が多発しており、クレジットカードで買い物をするときにも暗証番号が必要です。暗証番号を忘れたり、間違えたり、レジの店員や後ろに並んでいる客が気になって仕方ない人にとっては、この指紋買い物方式は非常に便利だと考えられます。現段階では、指紋買い物方式の場合も利用後に署名は必要ですが、今後はこの面倒な署名も要らなくなるようです。将来は、店のレジの前で客が混雑し、お金を支払うために余計な時間を費やすことがなくなるかもしれません。
それから、消費制限額が自分で設定できることも利点の一つです。自分の身の丈にあった範囲で限度額を設定でき、使いすぎの心配もありません。
ところで、指紋の登録に関してですが、、当初は不快感を覚える人が多いかと思われましたが、ここ最近は、勤務先や自動車学校などで指紋式タイムカードが普及しているせいもあり、指紋の登録を不快に思う人は以前に比べて少なく、むしろトレンドに乗り、抵抗感を感じない若い人が増えてきているようです。これに加えて指紋による買い物もクレジットカード同様ポイントを貯めることができ、それが魅力となり、利用者の増加に拍車がかかりそうです。

指紋買い物方式の安全性
さて、利用者にとって買い物をする際に、便利性はもとより重要ですが、やはり安全性が一番大切なところです。
「立佰趣」社によると、「この指紋認識装置は、指紋を画像イメージとしては保存されず、人の指紋をコード化し、数学の方程式に変換させており、万が一ハッカーが方程式を解読したとしても、逆転換ができないので指紋の要素や画像は手に入らない」ということです。
また指紋も人工皮膚などで偽造されるのではないかと疑問を抱く方もいると思いますが、この問題に対して、同社は「まず指紋は指の皮膚の表面にある凹凸でできた紋様で、この紋様が生涯変わらないし、まったく同じ紋様を持つ人物が2人いる確率は数十億分の一というゼロに近いものです。それに加えて身分識別コードがついているため、たとえ全く同じ指紋を持つ人がいたとしてもリンクする口座番号が異なるため、コンピューターが誤認識することはない」と説明しています。
さらに、この指紋買い物方式に用いられる指紋照合技術は「立佰趣」社とドイツのウィンコール・ニックスドルフ社との共同研究によって開発した特殊な識別認知方法(導電膜と微電流感知センサーによる特殊な測定方法と、正常光と赤外線センサーによる光線による二重のセキュリティ措置がとられている)を採用しているため、通常の指紋照合システムに比べてはるかに高度的なものであり、非常に安全性の高い総

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