駐在員雑感(第45回) 「年夜飯」

  • 投稿日:2008.02.02
    • 002:職員コラム

1月末から中国は、記録的な大雪になりました。新聞発表によると上海では、なんと1893年以来、115年ぶりの大雪という報道です。本当かなあと思いますが、確かにすごい雪でした。市内一面銀世界で、私の住んでいるところ(上海中心からは西の郊外ですが)は、5から6cm位は雪が積りました。
今回のこの大雪は、都会への出稼ぎ労働者がふるさとへ帰る「春運」と呼ばれる帰省ラッシュと重なり、中国のたくさんのところで交通麻痺が生じ、大混乱でした。長距離バスの運休、高速道路の封鎖、列車、飛行機の欠航などなど、中国国民にとって、家族と過す最も大切な春節を前に、この大雪は大迷惑だったのではないでしょうか?

さて、年を越すにあたり中国では、「年夜飯」を食べるという習慣があるようです。この時期、上海市内のレストランでも 「年夜飯」予約の看板が市内至る所で見られます。
「年夜飯」は、もともと、大晦日(今年は2月6日)に、家族が一緒に自分の家で、ワンタンや餃子、もち菓子、餡子入り団子などを食べることを指していましたが、最近では、レストランで普段よりちょっと贅沢な食事をする人が増えているようです。
市内のレストランにとっては、忘年会、年夜飯と一年で一番の書き入れ時なのです。(世界中、年末はどこも忙しいようです。)
上海では、年夜飯として、「八宝飯」というあずき入りのもち米ごはんや「圓子」という甘酒の中に団子が入っているような料理などが欠かせないようです。また、普通よりも少々豪華な魚料理、鶏肉料理、鴨などを食べるそうです。また、中国は広いので地域によって食べるものが違い、北のほうでは、「餃子」が欠かせない料理のようです。
市内のレストランに「年夜飯」の特別メニューについて聞いたところ、以外にも特別な料理があるところは少なく、通常と同じ料理をコースで提供していることが多いようでした。しかし、とあるレストランでは「全家福」「全家楽」「全家和」と銘打った特別コース料理を提供しており、価格は2,088元、1,988元、1,688元(1元≒16円)で高級魚料理や鮑料理も含まれています。当日は概ね予約で一杯とのことでした。
また、レストランによっては、「コース料理の出前サービス」を行うところもあるようです。このサービスは非常に人気で、市内の有名中華料理店は、昨年この出前メニューを5,000セット程度売ったということで、今年は昨年の20%増だそうです。

 一方、伝統的に家で「年夜飯」を作るという人もいるようです。以前の雑感で上海の女性はあまり家事をやらないということを紹介しましたが、しっかりと家族のために自分の家で「年夜飯」を作る人もいるのですね。
上海の新聞によると、市内に住む女性は、「家族が家で『年夜飯』を食べるのはもう5、6年ぶり。今年は、大晦日が休みなので、私が一日かけて家で『年夜飯』を準備し、家族に私の腕前を見せるつもりだ。」との記事が載っておりました。この女性は、夫の両親を家に呼んで、義母と一緒に「年夜飯」を作るそうですが、このような女性は、あまり多くないのかもしれません。

それから、さらに、新聞によると、市民の中にはレストランでの「年夜飯」は、騒がしく、慌しいので、もういやだと感じている人も多いようです。「年夜飯」だからと仰々しく料理をしたり、レストランに行くのではなく、簡単な食事でいいから、家でのんびりテレビを見て過すという人が多いことも事実のようです。

 「年夜飯」のかたちはいろいろあるようですね。今年の上海は、雪が残る大晦日になりそうです。何より大切なのは「一家団欒」ということでしょうか?

2008年2月1日
福島県上海事務所 安達和久

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