中国のマツタケ事情

  • 投稿日:2005.09.19
    • 003:上海地域アドバイザーレポート

中国は現在世界最大のマツタケ輸出国となっている。中国のマツタケの産地は、主に雲南省、四川省、吉林省それからチベットの一部である。そのうち、雲南省のマツタケの生産量と輸出量は、現在全国トップの水準に達している。マツタケは6〜11月にかけて成熟し、8〜9月が収穫の季節になる。雲南省におけるマツタケの輸出は1985年から始まった。その当時の価格は1キロ0.8元だったが、その後、日本の商社の大量買付けによる値上げが続き、わずか数年間で1キロ千元になり、90年代末には特級品の相場は1キロ3000元を超えた。現在は平均で1キロ1000元〜1800元というところである。

日本は毎年、海外から大量のマツタケを輸入している。主な輸入先国は中国、韓国、北朝鮮、カナダ、ロシアなどで、毎年中国からの生マツタケの輸入量は1000トン〜1300トン前後にも上る。この中で雲南省生産のマツタケの数量はその60%〜70%を占めている。雲南省でマツタケの輸出業務にかかわる人口は数十万人にも上り、特に有名なシャングリラ地区では主要産業となっている。

マツタケ主要輸出国と生産期対照表

産地 時期
中国 6月上旬〜11月下旬
北朝鮮 8月中旬〜10月中旬
韓国 8月下旬〜10月中旬
アメリカ/カナダ 9月上旬〜12月下旬
トルコ 10月中旬〜12月下旬

日本市場における産地別マツタケの価格:

日本 > 韓国 > 中国吉林 > 雲南・四川 > 北朝鮮 > カナダ・アメリカ

吉林省産のマツタケは最も大きく、色が白いことから品質のレベルが最も高いが、収穫量が少ないので毎年の輸出量は100トン〜200トンしかない。

チベットも高品質のマツタケの産地ではあるが、地理的に不便であること、鮮度保持技術が遅れていることから品質を保障することができない。四川省産のマツタケは雲南省のものとほぼ同じレベルである。この両地方の産品は主に雲南省経由で輸出されている。

雲南省は中国で森林資源の最も豊富なところで、マツタケの産地は省内46の県に広がっている。特に雲南省の西北地区、中部地区は重要な産地である。これらの地方の自然環境は野生菌類の成長に最もふさわしく、マツタケを含む食用菌類の輸出は外貨獲得輸出農産品の第二番目になっている。

これまで、雲南省のマツタケの輸出量は毎年平均700〜800トン(四川省、チベット産を含む)で、そのうち90〜95%は日本向けに輸出されている。残り5%前後は韓国に輸出されている。このため雲南省はいま、中国最大のマツタケの流通基地となっている。マツタケの輸出期間中は毎日、昆明から日本への貨物専用フライト便が運航される。2004年度雲南省の食用菌類の輸出は7744トンでそれによる収入は8437万米ドルだった。そのうちマツタケの輸出は1280.8トン(生マツタケ973.5トン(76%)+マツタケ製品307.35トン(24%))に達し、その輸出金額は史上初めて5000万米ドルを突破し、5361万米ドルに達成し、外貨獲得輸出林産品の第一位となった。

雲南省林業庁は2005年のマツタケの輸出量が1500トン(生マツタケ1100トン+マツタケ製品400トン)、輸出金額が6000万米ドルになると予測している。

シャングリラ
シャングリラ:雲南省の地名。チベット語では「心の中の桃源郷」ということ。現在は雲南省マツタケの主要産地である。

参考:中国緑色時報2005年3月17日、3月31日、9月7日、新華網2005年1月7日

福島県上海事務所
仲 琪
2005年9月19日
(本文は、グローバルふくしま(NO.101)に寄稿掲載したもの)

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