<法律相談7>中国の免税輸入設備の返却および転売における徴税問題について
- 投稿日:2012.10.30
- 駐在員レポート
Q)
中国の子会社は日本の親会社より免税扱いで機械設備を中国に輸入しました。奨励類プロジェクトとして承認を受けており、設備免税許可を得ています。
上記免税輸入設備の監督・管理期間は5年間ですが、中国での生産を止め、設備を監督・管理期間内で日本の親会社に返却(輸出)したいと考えています。設備は親会社の本社でなく事業所(工場)に中国の子会社から直接返送します。
この場合、輸入時に免除された税金は追徴されるのでしょうか?また、日本への輸出時に税金は発生するのでしょうか?
同様に免税輸入設備の監督・管理期間内で、その他の国(日本、中国以外の国)にある関連会社に転売(輸出)する場合には、輸入時に免除された税金は追徴されるのでしょうか?また、他国への輸出時に税金は発生するのでしょうか?
A)
免税扱いの輸入設備を監督・管理期間内に返送輸出または、直接輸出を行う場合、中国で徴税問題は存在しません。
中国税関第179号令「中華人民共和国税関輸出入貨物減税管理弁法」第41条の規定にもとづくと、税関の監督・管理期間内において、免税設備を輸入する会社(以下、「輸入企業」という)は、主管の税関に審査を申請した後、その免税扱いの輸入設備を返送出国、あるいはその他の国へ輸出することができます。また、中国税関は返送出国または直接輸出を行う免税扱いの輸入設備に対して、再び関連の税金を追徴することはありません。
このほか、「中華人民共和国輸出入関税条例」および「中華人民共和国税関輸出入税即則」の関連規定にもとづけば、中国税関は現在、47件の税番号の商品について輸出関税の徴収をしているだけであり、減税免税方式で輸入を行った設備は輸出関税を徴収する範囲内にはありません。
よって、もし輸入企業が、会社の生産停止によって免税扱いの輸入設備を日本の親会社に返送輸出するか、または直接他国の関連会社に輸出する場合は、主管の税関からの審査批准を得られれば、直接日本へ返送輸出することができ、輸入時に免除された税金を納める必要はなく、中国でも新たな税金が発生することはありません。
ただし、注意が必要なのは、中国の税関の規定によれば、免税扱いで輸入した設備を監督・管理期間内に中国国内企業に転売する場合には、輸入関税の残額納付の問題に触れることになります。
このほか、厳格に税関の規定に照らせば、返送輸出は必ず輸入時のルートで免税扱いの設備を日本の親会社に返送しなければなりません。今回の輸出先は事業所(工場)ということですが、もし輸入企業が当初工場から直接設備を輸入したのでないなら、今回の返送時においては、輸入企業が工場と元々の輸出元の関係を証明する必要があります。その後、中国税関の批准を得て、返送の方法で直接設備を日本の親会社の工場へ輸出することができます。
以上