上海における酒類の消費動向について
- 投稿日:2006.02.22
- 駐在員レポート
上海の醸酒製造協会の調査によると、上海市における各種酒類の消費量は2005年120万キロリットルを突破し、130万キロリットルに迫り過去最高を記録したという。
これを成人1人あたりに換算すると年間1人あたり約85リットル消費した計算になる。また1日あたりでは1人230ミリリットルを365日飲んでいることとなる。
(上海の成人人口は約1,530万人で計算:2005年上海統計年鑑をもとに18歳以上の人口で推計)ちなみに、福島県は年間の酒類消費量が14.5万キロリットルで、成人1人あたりに換算すると86.9リットルで、福島県のほうが1人あたりの酒類の消費量は若干高いということがいえる。さすが酒どころ福島(国税庁の酒類販売量のデータによる)。
さて、現在上海ではどのような酒が消費されているかというと、消費量のうち 約100万キロリットルがビールでなんと80%を占めている。
すでに、日本の主要ビールメーカーは上海での現地生産を行っており、特にサントリー(中国語では「三得利」と書く)が、中国の「青島」ブランドよりも高いシェアを占めている。
中国のビールの特徴はアルコール度が3%~4%程度と少々低く、日本のビールと比べると軽い感じがする。そのせいか、中国の宴席ではビールは「酒」ではなく、「ソフトドリンク」と同じ扱いであると聞いたことがある。なんとなく納得できる。
ビールに続いて消費量が多いのは、紹興酒で18万キロリットル、次にワインが5万キロリットル、白酒が4万リットルの順となっており、2005年はワインの消費量が「白酒」の消費を追い越した。
中国のワインは「王朝」「長城」「張裕」の国産の3大ブランドが圧倒的人気で、輸入ワインのシェアはまだ約10%程度であるという。しかし今後関税の引き下げにより外国産ワインの価格が下がると見られ、今後は市場が拡大すると見込まれる。
また、消費されている場所は、ビールの90%は家庭で消費されているのに対して、ワインは90%がレストランで消費されている。また、紹興酒の70%は家庭で消費されており、レストランでの消費は30%である。
一般家庭では価格が手頃はビールや紹興酒が飲まれ、外食の際はワイン等の少々高いものを飲んでいるようである。
この調査に日本酒の統計がないのが残念であるが、一般家庭で日本酒を飲んでいる中国人はほとんどいないと思われる。日本酒もやはりワインと同様、外食時特に日本料理店で消費されているようだ。
福島県の地酒も数銘柄すでに輸入され、上海で販売されているが、ワインのように福島県の地酒が上海で人気となるよう消費拡大のための取組みが今後も必要である。
出展:
- NNA
- 上海市政府HP
- 国税庁統計資料等
酒の小売価格
酒類 | 瓶ビール | 紹興酒(500ml) | ワイン(750ml) | 日本酒(720ml) |
価格 | (中国産630ml) 3元~8元 (外国産500ml) 20元~22元 |
(中国産) 10元~90元 |
(中国産) 40元~50元 (フランス産) 130元~200元 |
(中国産) 40元~50元 (福島産) 130元~520元 |
*価格は上海市虹橋地区小売店にて調査した1本あたりの単価。
福島県上海事務所 安達和久