<法律相談5>中国企業を経由した外資制限業種への出資(委託投資)の合法性について

  • 投稿日:2010.02.23
    • 駐在員レポート

Q)外国企業の制限業種(例 不動産業)への出資において、非制限業種である中国企業(中外合資企業)を通した間接的な出資が合法か否かという問題です。

 

具体的には、当社の取引先の1つである中国企業を通して、不動産開発会社へ5%程度の出資を検討しております。所謂、委託投資というやり方で、新公司法で認められて

いる「約定収益」という手法を用い、5%の出資分をそのまま全て不動産開発会社へ代理出資して頂くことを検討しています。

 

もし、このやり方が合法であれば、外資企業に設けている制限が、実質的にはあまり意味を持たず、どんな中国企業にも出資できることになるので、法律的には何か他の縛りがあるのではないかと懸念しております。

 

A)

1.       外国企業が不動産産業に参入することができます。

 

『外商投資産業指導目録』によると、外国企業が中国の不動産業に参入するときの制限は以下の通りです。

(1)              ディベロッパー

中外合弁、中外合作企業のみは参入できます。また、外資の出資比率の制限はありません。

(2)              高級ホテル、別荘、高級オフィス及び国際展示センターの建設、経営

      制限がないため、外資100%の参入も認めます。

(3)              不動産中古市場取引及び不動産仲介業

 制限がないため、外資100%の参入も認めます。

 

実務上、上述の不動産産業が制限類産業であるため、外国企業が投資する際の審査は厳しいです。ただし、上述以外の場合、外国企業は自由に参入することができます。

(例えば、住宅マンション等の建設等。)

 

また、『中外合資経営企業法』第4条によると、合弁企業の登録資本の中で、外国側合弁経営者の出資比率は一般的に25%を下回りません。ただ、実務上では外国企業の出資比率が25%を下回ることができます。この場合、当該合弁企業は中外合弁企業と認められず、通常の内資型企業と認められますが、会社の設立・変更等に関する審査基準は、外資型企業と同じです。

 

本件の場合、当該日本企業は不動産開発会社に直接的に出資することができます。

 

即ち、5%程度の出資であるとしても、投資者の名義及び当該出資は工商局に登録されます。

当該不動産開発会社の外資比率が25%を超える場合には、企業形態は中外合弁企業であり、

25%を越えない場合には、企業形態は内資型企業です。

また、以前、外資型企業は、低税率の優遇政策を享受しましたが、200811に企業所得税法が実施された後(内、外資企業の所得税率を統一した)、以前のような外資企業優遇政策がなくなりましたので、不動産開発会社を内資型企業として扱われても、投資者には実質的な影響がないと思います。

 

2.       法律上では、委託投資(代理投資)が認められません。

 

中国では、投資信託は認められますが、委託投資は認められません。即ち、ご陳述のようなやり方は合法ではありません。実務上、委託投資が行われた場合(他人名義での投資)、裁判所は、当該行為自体が違法行為であると認定しますが、出資者が出資によって得た利益を取得することを認めます。

 

 

以上、宜しくお願い致します。

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