2022年度個人所得税総合所得確定申告が始まりました!

  • 投稿日:2023.03.28
    • 009:ビジネスニュース
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2022年度の個人所得税総合所得確定申告が3月1日より始まりました。日系企業の駐在員等の方々は、企業が申告してくれるケースが多いかと思いますが、この時期に担当者から渡された申告書類にサインをした記憶があるのではないでしょうか。

 今回は外商投資企業に必要な会計・税務年度業務の1つであり、中国に居住し所得を受けている方々個人に係る個人所得税総合所得確定申告についてご説明いたします。

 毎年2月頃になりますと国家税務総局より個人所得税総合所得確定申告についての広告が公布されます。

国家税务总局关于办理2022年度个人所得税综合所得汇算清缴事项的公告 (chinatax.gov.cn)

 その内容は、2022年度総合所得が12万元を超え、且つ確定申告における追納金額が400元を超える、或いは、2022年度の予納税額が年度納付税額より多く、還付申請を行う等の場合、主管税務機関へ確定申告を行うというものです。申告期間は3月1日~6月末までに実施、実施方法は個人所得税アプリ、税務局窓口、郵送の方法があります。
▶総合所得とは?
 賃金給与、労務報酬、原稿料報酬、特許権使用料の4項目の合算所得。
▶追納例
 賃金給与以外の総合所得を合算後、年度納付税額が予納税額を上回る場合。
 一納税年度内に、転職し、2箇所以上から給与を取得しており、年度納付税額が予納税額を上回る場合。  
▶還付例
 駐在員(居住者)に年の途中で帰任が発生し、基礎控除(6万元)を全額控除していない場合。
 還付が発生する場合に、確定申告を行わなければ、その還付を放棄したこととなりますのでご注意ください。

 上記に当てはまらない方については確定申告不要となりますが、確定申告の基準についてはご認識いただければと思います。
 また、赴任・帰任時における個人所得税申告実務に関わる若干の注意点についてもお伝えしたいと思います。

【赴任時における注意点】

①工作許可証及び就業類在留許可(居留許可)の取得有無
 中華人民共和国出境入境管理法第41条には「外国人が中国で就労する際には、規定に従い工作許可証及び就業類在留許可証を取得しなければならい。いかなる組織及び個人も工作許可証及び就業類在留許可証を取得していない外国人を雇用してはならない」と規定され、第43条には「規定に従い工作許可証及び就業類在留許可証を取得せずに中国国内で就労した場合」は不法就労に該当すると定められています。2019年前後から出入国管理局は外国人のビザデータと個人所得税申告データの照合を強化し、規定に違反する場合、処罰が科せられるケースが多発しました。隔離措置が撤廃された現在において、Zビザでの入国後から工作許可証及び就業類在留許可証(以下、両証と表記)の取得までの期間は、工作許可証15営業日以内、就業類在留許可証7営業日となっており、Zビザ滞在可能期間内(30日)に工作許可証取得及び就業類在留許可証申請ができるようになっているものの、中華人民共和国出境入境管理法上は、Zビザでの中国入国日や労働契約開始日ではなく、あくまでも両証取得完了後から就労・雇用が可能となっています。また、両証取得後における個人所得税の初回申告額と翌月以後申告額に大きな差がある場合において、初回申告額に両証取得前分給与が含まれるか否かの確認が実施され、給与明細や銀行口座情報等の提出が必要となる調査も行われており、個人所得税の申告開始の際は、両証取得及び給与の対応期間について確認が必要です。

②銀行個人口座名義と税務申告名義の一致
 個人所得税還付が発生する場合、銀行個人口座への返金となり、その際、銀行個人口座の登録名義と個人所得税申告名義・氏名が完全に一致する必要があります(氏名の順番、アルファベットの大文字小文字、氏名の間における空白の有無を含む)。
 現行の個人所得税申告システム上は、漢字での氏名登録も可能であるものの、中国ローカル銀行の個人口座名義は、アルファベットです。なお、キャッシュカードに氏名の記載がある場合にも、カード上はアルファベット大文字のみであるため、実際に登録されている名義を口座開設時の申請書や取引明細の印字情報で確認の上、申告名義と一致させることを推奨します。

【帰任時における注意点】

①非居住者の個人負担分中国社会保険料
 暦年の中国滞在日数が183日に満たない非居住者は、社会保険料控除(専項控除)は適用できません。非居住者への変更時、個人負担分社会保険料への課税が必要です。

②帰任後も中国ローカル銀行個人口座を維持
 中国滞在日数変動による居住者もしくは非居住者への変更に伴い、個人所得税還付が発生する場合は、上記の赴任時における注意点②に記載の通り、銀行個人口座への還付となります。帰任時に銀行個人口座を抹消した場合、還付を受けることができないため、帰任前に還付手続を伴う確定申告(居住者)、清算申告(非居住者)を行う必要があります。なお、規定上は帰任前に各手続が可能であるものの、非居住の場合は年途中において滞在日数が確定していないことを理由に翌年1月1日~15日での清算申告、居住者の場合は翌年3月~6月の確定申告にて手続を行うよう指示されるケースがあります。個人所得税の精算が完了していない場合、帰任時においても銀行個人口座を抹消しない対応が必要です。
 また、各手続において、現地法人での源泉徴収記録や個人の納税記録(納税証明書)が必要となり、当該の納税記録取得手続時にはパスポート原本が必要となります。還付については、銀行個人口座が維持されていれば事後での対応も可能であるものの、追納が必要となる場合は、期限超過による延滞金の発生もあり、出国前に調整もしくは税務局において事前準備を行うのが適切です。

 個人所得税申告についてのご不明点につきましては、お気軽に福島県中国ビジネスサポートデスクまでお問合せください。

2023年3月28日  福島県中国ビジネスサポートデスク

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