セクハラ防止体制を整備していますか?

  • 投稿日:2023.10.28
    • 009:ビジネスニュース
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 日本で認識されているハラスメントは現在、80種類以上あるそうです。その内法令上、定義づけられているハラスメントは、セクハラ、パワハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(マタハラ)の3つとなります。

 ハラスメントの認識が比較的薄い中国でも、2021年1月1日から執行された「民法典」セクハラについて明確な違法責任を定めました。

 今月号では社内でセクハラが起きた場合にそなえ、企業が行うべき体制について説明いたします。

 2021年1月1日から執行された「民法典」第1010条では、「他人の意思に反し、言語、文字、画像、身体行為などの方法で、ハラスメントを行った場合、被害者は行為者に対し、民事責任を追及することができる。」と、セクハラについて明確な違法責任を定めました。

 これまでは、「未成年者保護法」や「婦女権益保障法」などで、女性の権益の侵害行為を禁止する規定が散在していましたが、「民法典」で初めて「男性女性ともに、セクハラの被害者になる」、「具体的な手段を問わず、被害者が明確に反対したにも関わらず、加害者が違法行為を実施した」など、セクハラの認定基準を明確にしました。

 ただし、セクハラはあくまでも新しい概念であり、社会認識がまだ薄いものだと考えられます。2023年に智聯招聘社が発表した「2023中国女性職場現状調査報告」では、「セクハラを受けたことがある」と答えた女性は、19.4%で、男性の5.5%を大きく上回りました。

 女性の職場環境を改善するため、「婦女権益保障法」を改定し、2023年1月1日に執行されました。その中に、会社がセクハラを防止する義務について、以下のように定めました。

「第二十五条 会社は以下の措置をとり、女性に対するセクハラ行為を予防、阻止しなければならない」

(一)セクハラを禁止する規程の策定

(二)担当組織、担当者の明確化

(三)セクハラの予防、阻止するための教育研修活動の開催

(四)必要なセキュリティー措置

(五)告発電話、メールなど告発ルートの開設

(六)完全な調査措置プロセスを構築し、トラブル解決と同時に個人プライベートと個人情報を保護

(七)被害女性の法律通りの権利主張を支持、協力し、必要時に心理カウンセリングを提供

(八)その他セクハラを防止する合理的な措置

 上記法律があるため、万が一会社で女性に対するセクハラ行為があった場合、会社の責任が問われます。会社に上記のようなセクハラ防止体制が構築されていなければ、損害弁償責任などを負わなければなりません。

 中小規模の日系企業では、自社内でセクハラ防止体制を完備することは難しいので、基本的な規程を整備し、社外で通報窓口を設けることがよくありますが、特に注意していただきたいのは、セクハラが発生した場合、どのような対策を講じるのか事前に準備しておくことが大切です。セクハラが発生すると、女性従業員の家族が会社へ抗議に来たり、警察に通報したりなど、緊急に対応しなければいけない事項が沢山あります。同時に会社が適切な調査を実施し、心理カウンセリングを提供するなど、従業員支援活動を行わなければなりません。日常業務への影響を最小限に抑えるためには、事前にプランを準備することが望ましいと考えられます。

 頻繁に更新される中国の法律や法令にご不明点がありましたら、お気軽に福島県中国ビジネスサポートデスクまでご相談ください。

2023年10月27日  福島県中国ビジネスサポートデスク

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