中国の産休及び育休制度について
- 投稿日:2024.02.08
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今回は、中国の産休及び育児休暇について日本と比較してご説明させていただきます。
人口14億人を超える中国では少子化が深刻な問題となっています。35年以上続いた人口爆発を抑制するための「一人っ子政策」を撤廃し、2016年には2人目の出産が認められました。しかし、出生数は伸びず、2021年には中央政府の「人口計画出産法」が改正され、3人目の出産が認められたのに伴って、中国各地で産休や育休、出産介護休暇の新設や拡充が進みました。
中国では従来は、出産する女性従業員には出産予定日前15日、産後83日の合計98日の出産休暇が付与され(難産や死産、多胎児の場合は15日追加されます。)、日本の場合は産前42日、産後56日で合計98日と、日中で一致していました。2021年の改正以降、中国では国の定める産休の98日間に加えて、地域と子供の数に応じた日数が追加されるようになりました。産休日数は、多くの地域で延長されており、 北京市、上海市、遼寧省など16か所では、国が定める98日間に加えて、さらに60日間上乗せされ、計158日となりました。
この産休期間中は、過去12か月の平均給与に基づいて一定の給与を受け取る権利があります。(「女性従業員労働保護特別規定(中国語:女職工労働保護特別規定)」第8条によると、女性従業員の産休期間中の出産手当金は、すでに出産保険に加入している場合、前年度当該従業員の月平均賃金の基準に基づいて出産保険基金より支払う。出産保険に加入していない場合は、女性従業員の産休前賃金の基準に基づき使用者より支払う、とされています。)
日本では、産休(産前産後休暇)が終わった後に、子供が満1歳になるまで、(または父母共に取得する場合は1歳2か月まで、保育所に入所できない場合は最長2歳まで)育休を取得することができますが、改正前の中国では育休制度はありませんでした。2021年の改正以降、3歳未満の子供を持つ夫婦それぞれに年間累計5~15日間育児休暇を取得することが認められました。(地域や子供の数で育児休暇を取得できる日数は異なり、上海市では毎年5日間の育児休暇が付与されています。)
国が違えば、法律も異なりますので、産休育休以外にも妊娠中の女性従業員の扱いも異なりますので注意が必要です。
例えば、日本では妊娠中の従業員が勤務時間中に保健指導や健康診査を受けた場合、検診のために休業した時間に対する賃金の支払い(有給、無給)については会社の定めにより異なります。しかし中国では、妊娠中の従業員が勤務時間中に、検診を受けた場合はその所要時間を労働時間として取り扱うこととなっています。
その他にも、日本では妊娠中及び産後1年を経過しない女性従業員が請求した場合は時間外労働及び深夜労働をさせてはならないとなっていますが、請求がない場合は、残業させても違法にはなりません。しかし中国では、妊娠7か月以上の女性従業員に対しては時間外労働及び深夜労働が禁止されています。
仕事と子育ての両立をする女性が増える一方で、妊娠や出産が原因のトラブルが増えています。トラブルを防ぐためにも、あらかじめ法律制度を理解する必要があります。
中国の人事制度に関してご不明点がございましたら、お気軽に福島県中国ビジネスサポートデスクまでご相談ください。
2024年2月8日 福島県中国ビジネスサポートデスク