「 “新生ふくしま”をめざして 」

  • 投稿日:2013.01.04
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「 “新生ふくしま”をめざして 」

平成25年1月1日 福島県知事 佐藤雄平   

 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 新しい年の始めに当たり、本県の復興に向けて日々力を尽くしておられる県民の皆さんの御健勝と御多幸をお祈り申し上げますとともに、県政にお寄せいただいております御支援と御協力に対し、心より感謝を申し上げます。

 東日本大震災からまもなく1年10か月を迎えます。
 震災により亡くなられた方々の無念を思い起こし、改めて御冥福をお祈り申し上げます。
 今なお、15万人余の県民の皆さんが避難生活を余儀なくされています。住み慣れたふるさとで新年を迎えることができない方々が多くいらっしゃることは、痛恨の極みであり、一日も早い本県の復旧・復興への決意を新たにしたところであります。

 昨年末に、第46回衆議院議員総選挙が行われ、第2次安倍内閣が誕生しました。この新しい政権におきましても、東日本大震災及び原子力災害からの復旧・復興を我が国の最優先課題として、これまでの取組を継続させることはもちろん、より一層推進していただくよう、あらゆる機会を通して求めてまいりたいと考えております。

【昨年を振り返って】

 天皇皇后両陛下におかれましては、一昨年に続き10月に、本県を御訪問いただきました。川内村の除染現場を御覧になり、従事者の労をねぎらわれ、仮設住宅では一人一人に温かいお言葉をかけてくださいましたことは、私たち県民にとって、大きな励みとなりました。

 スポーツや文化の分野での本県勢の活躍は目覚ましいものがありました。
 新春の箱根駅伝において、いわき市出身の柏原竜二選手が自らの区間記録を更新し、4年連続区間賞を獲得した快挙は、レース後に語った「僕が苦しかったのは、たった1時間ちょっと。福島の人たちに比べたら、全然きつくなかった。」という言葉とともに、「復興元年」の幕開けに当たり、県民を大いに勇気づけてくれました。
 ほかにも、全国高校サッカー大会における尚志高校の本県初の4強入り、世界ジュニアバドミントン選手権における富岡高校の桃田賢斗選手の金メダル獲得、富岡町の生徒で構成する猪苗代中学校バドミントン部の前年に続く全国制覇、Jリーグを目指す本県のサッカーチーム「福島ユナイテッドFC」の悲願のJFL昇格など、ふくしまへの思いを胸に、全力で競技に挑む選手たちの姿は輝き、私たち県民の心に温かい光を注いでくれました。
 さらに、本県開催の声楽アンサンブルコンテスト全国大会の本選では郡山第五中学校が、第79回NHK全国学校音楽コンクールでは若松第四中学校が、第65 回全日本合唱コンクールと日本学校合奏コンクール2012全国大会の二大会で郡山第二中学校が、それぞれ日本一になったほか、県内の数多くの学校・団体が賞を獲得するなど、音楽の分野での本県の実力と層の厚さを全国に示しました。
 こうした若い世代の活躍には、多くの感動と元気を頂くとともに、震災に負けない力強さと頼もしさを感じました。
 また、多くの人々の力によって2年ぶりに本祭りが開催された7月の相馬野馬追、高円宮妃殿下をお迎えし全国の祭りが一堂に会した10月の「ふるさとの祭り2012」では、ふるさとのきずなを再確認し、地域の文化や誇りをつないでいくことの大切さを改めて認識しました。
 復興に向けた取組も少しずつ形となって現れてまいりました。
 新地町における津波被災地の買取が開始され、相馬市沿岸部の防災集団移転計画が認可されるなど、集団移転の準備が進められたほか、避難指示が出されていた市町村においては、広野町と川内村が役場機能を本来の庁舎に戻して業務を開始したのを始め、帰還のための取組が進められております。
 大堀相馬焼の二本松工房のオープンや大手インターネットサービス会社のデータセンターの開業など、事業を再開する企業や新たに県内に進出する企業も増えてくるとともに、様々なキャンペーン等の展開により観光地にも少しずつ客足が戻り、県内経済も徐々に活気を取り戻してまいりました。
 9月には県産桃の海外輸出が震災後初めて再開され、漁業再開に向けては試験操業の実施が続き、魚種や海域も拡大されるなど、農林水産業においても、回復の兆しが見え始めました。
 また、震災や新潟・福島豪雨で被災した社会基盤等の復旧も一定の進展を見たところであります。

 思うように進まない除染とふるさとへの帰還、いまだ収束しない原発事故と廃炉への対応、若い世代の人口流出など、昨年は、震災直後とは異なる新たな課題が浮き彫りになる中で、多くの県民の皆さんが、健康への不安や震災が風化してしまうことへの危惧を抱きながら、日々を送ってこられたことと思います。
 こうした厳しい状況の中でも、「ふくしまから はじめよう。」を合言葉に、「復興元年」を掲げたこの1年は、県民の皆さんのたゆまぬ努力により、少しずつではありますが、本県は着実に復興への道を進み始め、明るい話題も増えてきた年でありました。
 本年は、この復興への歩みを確実に、そして加速させてまいりたいと考えております。

【復興に向けた取組】

 昨年3月に、国が、原子力災害からの本県の復興・再生に関する施策を策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有することを明記した「福島復興再生特別措置法」が制定され、さらに同7月には、同法に基づく「福島復興再生基本方針」が閣議決定されました。
 この基本方針では、避難者のふるさと帰還に向けた取組を始め、県民の健康、教育、子育て、産業、雇用、インフラ整備、防犯・治安など幅広い分野にわたり、国が本県の復興・再生に責任を持って取り組むことが盛り込まれております。
 今後は、この基本方針をさらに具体化させた、避難解除等区域復興再生計画等の各種計画の作成に向けて、国、市町村、関係団体等と緊密に意思疎通を図りながら、本県の未来に希望を抱くことができるよう協議を進めてまいります。

 福島第一原子力発電所につきましては、本県独自の新たな安全監視体制の構築に向けた取組として、先月、関係市町村と専門家で構成する協議会を設置しました。今後は、県民の視点による確認の仕組みの創設に向け検討するなど、さらに厳しく監視してまいります。
 また、地域防災計画につきましては、震災及び原子力災害の教訓を踏まえ、県民の安全・安心の確保を最優先に、まずは初動対応を中心とした見直しを行いました。引き続き、国の防災基本計画等の見直し状況や原子力災害対策指針の策定状況を踏まえ、見直しを継続してまいります。

 福島県復興計画(第1次)につきましては、昨年4月から進められている避難指示区域の見直し等に伴い必要となる取組を追加するなどの見直しを行い、昨年末に、第2次の復興計画を策定しました。今後も、様々な取組の進捗状況を見据えながら、着実に復興を進めることができるよう、適時適切に見直しを行ってまいります。

「夢・希望・笑顔に満ちた”新生ふくしま”」

 震災からの復興を果たした30年後の姿を展望した新しい総合計画「ふくしま新生プラン」の基本目標であります。本県の復興・再生を確実に進めていくため、全面的な見直しを行い、先月策定しました。思いやりや支え合いの心を大切にしながら、若い世代が将来に夢や希望を持っていきいきと活躍できる社会、そして安全・安心で原子力に依存しない持続的発展が可能な社会を目指して、復興計画や各分野の部門別計画と一体的に推進しながら、本県の厳しい状況を克服し、新たな飛躍を目指してまいりたいと考えております。

 以下、総合計画に掲げる重点プロジェクトごとにその主な取組の進捗状況を踏まえて、今後の方向について申し上げます。

○安心して住み、暮らす

(環境回復プロジェクト)

 除染の推進につきましては、汚染状況重点調査地域の40市町村のうち35市町村が除染対策事業交付金を活用して地域の除染を進めているところであり、国が直轄で除染する除染特別地域については、11市町村のうち9市町村で除染実施計画が策定され、このうち4市町村で本格除染が行われております。
 避難されている方々が一日も早くふるさとへ戻り、県民の皆さんが安心して生活できる環境を確保するため、引き続き、国や市町村と連携した除染や県内全域における環境放射線モニタリングの充実・強化を進めてまいります。
 また、農林水産物、飲料水、加工食品等のモニタリング体制を強化しながら、食品放射能簡易分析装置を追加配備し、全ての市町村において、住民が身近なところで自家消費野菜等を検査できる環境の整備も行いました。原発事故の発生により、これまでの方針等を全面的に見直し、昨年11月に策定した「ふくしま食の安全・安心に関する基本方針」及び「ふくしま食の安全・安心対策プログラム」に基づき、引き続き、食品の安全確保に努めてまいります。
 さらに、環境放射能モニタリング、調査研究、情報発信、教育研修の機能を備えた「(仮称)福島県環境創造センター」の基本設計・実施設計に本年度中にも着手し、来年度半ばには工事を開始するなど、平成27年度の開所を目指し、整備を進めてまいります。
 中間貯蔵施設につきましては、広域自治体の長として、双葉郡の8町村長と意見交換を行いながら、地質調査等を受け入れるという重い決断をしましたが、調査の受入は建設の受入ではないこと、地元への丁寧な説明、調査状況の適時の報告を国に対して強く申し入れました。今後、施設自体の受入の可否につきましては、調査の結果も踏まえ、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 さらに、先月開催されました「原子力安全に関する福島閣僚会議」の際に、本県と国際原子力機関(IAEA)との間で締結した覚書に基づき、協力プロジェクトの実施やIAEA緊急時対応能力研修センターの整備により、今後も連携を図りながら国内外の英知を結集して、本県の環境回復・創造に取り組んでまいります。

(生活再建支援プロジェクト)

 県内外で避難生活を余儀なくされている方々が、安心して暮らすことができるよう、よりきめ細かな情報の提供をしながら、仮設住宅や借上げ住宅等の提供、二重ローン対策、復興公営住宅の整備等住環境の再建支援など、引き続き生活再建に関する支援策を展開してまいります。
 復興への歩みを進める県民の皆さんの生活再建に極めて重要な原子力損害賠償につきましても、市町村や関係団体としっかり連携し、被害の実態に見合った十分な賠償が、最後まで確実かつ迅速になされるよう、国、東京電力に求めてまいります。
 また、雇用の維持・確保を図るため、基金を活用した緊急雇用の創出や企業への雇用支援等を継続して実施してまいります。
 避難指示が解除された地域の帰還を加速するため、避難指示解除後の帰還のための環境整備に取り組むとともに、復旧・復興に従事する人の宿舎の確保にも努めてまいります。
 また、避難指示区域の見直しに伴い長期間ふるさとへ帰れない方々のために、受入自治体との連携調整に取り組みながら、その生活拠点として、復興公営住宅を整備するとともに、役場機能や教育・医療・福祉等生活拠点に必要となる機能の確保に努めてまいります。
 避難している方々の居住証明につきましては、先月、統一的な手続きが定められました。今後も、子ども・被災者支援法に基づく施策の具体化など、避難者の生活再建支援に必要な法律や制度等の制定要請や活用を進めてまいります。
 さらに、警戒区域や避難指示区域等における防犯・治安対策を継続して実施するとともに、避難している高齢者等の交通安全対策も強化してまいります。

(県民の心身の健康を守るプロジェクト)

 長期にわたり、県民の皆さんの健康をしっかり見守り、その健康の保持・増進を図ることで、全国にも誇れるような健康長寿県を目指しております。
 県民健康管理調査については、甲状腺検査の仕組みや検査結果内容等の丁寧な説明に努め、県内外における検査体制の拡充などを実施し、常に充実、改善を行いながら、県民の皆さんの不安解消、理解促進に努めてまいります。
 また、放射線医学に関する最先端診断・治療拠点として、福島県立医科大学に整備する「ふくしま国際医療科学センター」の基本構想が昨年11月に策定されました。当センターの整備を推進しながら、最先端医療提供のための人材確保にも取り組むとともに、放射線に関する国際機関や国の機関等との連携・協働を進めてまいります。
 さらに、被災された方々に対する健康支援活動や子どもの心のケアにも、懇切丁寧に取り組んでまいります。

(未来を担う子ども・若者育成プロジェクト)

 本県の未来を担う子どもの育成については、18歳以下の子どもの医療費の無料化を昨年10月からスタートさせました。また、子育て世帯のストレスや不安の軽減、子どもの体力向上を図るため、屋内遊び場の県有施設等への設置や市町村等による整備の支援、子どもと一緒に保護者にもリフレッシュしていただく機会の提供などを行いました。
 今後も、日本一安心して子どもを生み育てられる環境づくりや子どもたちを元気づける取組をさらに充実してまいります。
 また、震災を踏まえたふくしまならではの教育を推進し、ふくしまの子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体、そして生き抜く力を育むとともに、本県そして日本の復興・再生を担う人材の育成に努めてまいります。

○ふるさとで働く

(農林水産業再生プロジェクト)

 米の全量全袋検査を始めとする農林水産物の放射性物質の検査体制を強化し、安全なものだけを市場に出荷する体制を整え、その結果を速やかにわかりやすい形で公表し、消費者の安全・安心の確保に取り組んでおります。
 昨年9月には、震災発生後、本県産の果物としては初めて、タイへの桃の輸出が実現し、10月には、本県に対する復興支援への感謝の意を込めて、王室へ県産桃と会津漆器を献上しました。また、12月には、首都バンコクの大型商業施設で県産リンゴも販売されました。加えて、米国への福島牛の輸出も10月に再開されたところであります。
 今後も、県産農林水産物の販売促進のため、首都圏におけるトップセールス、県内外でのキャンペーン、本県を応援してくださる有名人の協力などにより、全国・世界に向けて正確な情報と県産農林水産物の魅力をお伝えし、風評の払拭を図ってまいります。
 さらに、被災地域等における農林水産業の早期再開に向けて、農地、農業用施設、森林土木施設、水産業関連施設等の復旧に取り組むとともに、原子力災害により大きな被害を受けた本県農林水産業の力強い復興に向けて、引き続き様々な取組を進めてまいります。

(中小企業等復興プロジェクト)

 震災や風評被害の影響等により県内経済は依然として厳しい状況にありますが、増額が実現したふくしま産業復興企業立地補助金等により、昨年の工場立地件数は102件と、前年と比べ2倍近い件数に達するなど明るい兆しもあり、引き続き企業等の事業再開・継続に対する支援、取引拡大や技術開発への支援などにより地域経済の復興に取り組んでまいります。

(再生可能エネルギー推進プロジェクト・医療関連産業集積プロジェクト)

 現在、「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン」の策定作業を進めております。このプランは、「再生可能エネルギー推進ビジョン」で掲げた導入目標を踏まえ、地域主導、産業集積、復興のけん引の3つの柱を基本とした、今後3年間の推進方策や分野別の導入見込量、工程等を明らかにするものであります。このアクションプランを効果的に遂行しながら、再生可能エネルギーの推進を図ってまいります。
 昨年8月の欧州訪問以降、デンマークの再生可能エネルギー関連企業と本県企業とのビジネス交流セミナーの開催、「ふくしま復興・再生可能エネルギー産業フェア2012」の開催、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州における世界最大の医療機器展示会「メディカ」への県内企業の出展、「メディカルクリエーションふくしま2012」への同州経済団体の出展など、より具体的なビジネス交流が始まり、一部の企業間で商談がまとまる見込みも出てきております。
 このたびの衆議院議員総選挙では、原発を含むエネルギー政策が一つの争点となりましたが、本県は既に、原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくりを進めることとしております。引き続き、再生可能エネルギーの導入拡大や、共同研究の推進、「(仮称)福島県医療機器開発・安全性評価センター」の整備等を進めながら、世界に先駆けて、本県をこれら産業の一大集積地に成長させてまいりたいと考えております。

○まちをつくり、人とつながる

(ふくしま・きずなづくりプロジェクト)

 県内におけるきずなづくりを進めるとともに、県外に避難されている皆さんの心がふくしまとつながり、ふるさとに帰還することができるよう、コミュニティ活動や地域づくり活動への支援、ふるさと情報や交流の場の提供などを実施してまいります。
 また、震災から2年を迎える3月11日には、東日本大震災で犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、県民の皆さんが心を一つにし、本県の復興に向けて思いを新たにできるよう、「ふくしま復興の誓い」を開催します。

(ふくしまの観光交流プロジェクト)

 今月6日から放送が開始される大河ドラマ「八重の桜」に合わせ、「ふくしま八重隊」による全国キャラバン、旅行業者招へい事業、京都府や同志社大などが参加する「京都『八重の桜』応援協議会」との連携、八重のように強く美しく生きる本県女性の躍動する姿の紹介など、様々な方策・機会を活用してドラマの舞台である本県の魅力を強力に発信し、ドラマを契機に本県を訪れる方々が、広く県内を周遊していただけるような取組を進めてまいります。
 3月20日に開港20周年を迎える福島空港は、昨年2月に利用者数が累計1,000万人を突破しました。「八重の桜」を契機とした関西方面からの誘客により、一層の利用促進を図りながら、国際線再開にも粘り強く取り組んでまいります。
 さらに、平成27年のJRデスティネーションキャンペーンの誘致に向けた取組を行うこととしました。国際会議やスポーツ大会の誘致にも積極的に取り組み、市町村や民間企業・団体の皆さんと一体となって本県の観光の復興を図ってまいります。

(津波被災地復興まちづくりプロジェクト)

 復興に向けたまちづくりや地域づくりに必要となる集団移転先の整備や市街地の整備等の各種事業に必要な許可の基準緩和や手続のワンストップなどの特例を受けるため、東日本大震災復興特別区域法に基づく復興整備計画の作成、復興整備協議会の開催について、津波被災市町村と共同で取り組み、復興事業の進展を図っております。
 今後も、海岸堤防の嵩上げ、防災緑地、海岸防災林、道路の整備、土地利用の再編など、複数の手法を組み合わせた多重防御によるハード面の整備を始め、防災訓練の強化や防災リーダーの育成など、ソフト面の充実を図り、総合的な防災力が向上するまちづくりを進めてまいります。

(県土連携軸・交流ネットワーク基盤強化プロジェクト)

 原子力災害からの復興、とりわけ避難指示区域の再生や住民帰還を促進するためには、常磐自動車道の早期全線開通や国道114号、288号、県道小野富岡線など地域連携道路の機能強化が極めて重要であります。このため、これらの道路整備の考え方を「本県の復興に向けた戦略的道路整備」として、福島復興再生特別措置法及び基本方針に基づく避難解除等区域復興再生計画に位置づけることなど、あらゆる方策に訴えて整備の促進を図ってまいります。
 震災や新潟・福島豪雨で被災した公共土木施設等については、引き続き早期復旧・機能強化に取り組み、本県の物流、観光の振興を支える基盤の整備を図ってまいります。併せて、昨年末に創設した只見川流域豪雨災害復興基金を活用し、新潟・福島豪雨災害からの早期復興に向け、只見川流域町等の支援を行ってまいります。
 さらに、JR常磐線・只見線の早期全線復旧を求めていくとともに、災害時における情報通信手段の強化を進めてまいります。

○人口減少・高齢化対策プロジェクト

 本県では、東日本大震災後、人口減少に拍車がかかっております。
 我が国全体の人口減少が予測されている中、本県の人口減少を少しでも緩やかなものにしていくことは、本県の将来にとって非常に重要であります。また、高齢化が進んでいる中で、高齢者が元気で豊かに暮らしていくことは、本県の活力を高めていく上で重要であります。
 あらゆる手立てを講じ、人口減少・高齢化の影響の軽減、人口の県外流出の抑制、出生数の回復などを図ってまいります。

 以上、復興に向けた主な取組について申し上げました。

 本年は、法律や計画等に基づく具体的な施策を確実に実現させていかなければならない、まさに「実行の年」であることを念頭に、国・県・市町村一体となって本県の復興・再生を推進してまいります。

【結びに】

 第34回少年の主張全国大会に出場した、いわき市の中学生の発表を紹介します。
 『今回の震災は、私に様々なことを考えるきっかけを与えてくれました。今の私にはまだまだ小さな支援しかできませんが、身近なことに目を向け、困っている人や苦しんでいる人たちを救える人になりたいと思います。「助け合いのバトン」をしっかりと渡せるように、そして助け合いの輪がどんどん広がることを願いながら…。そうすることが、明るい社会につながると思うのです。』

 本県が、復興に向けて進んでいるのは、国内外からの多くの御支援と、本県に心を寄せてくださる一人一人の温かい気持ちが、大きな力となって、復興への歩みを支えてくれているからであります。そのことを私たち福島県民は忘れてはならないと強く感じております。
 感謝の気持ちを胸に努力を重ね、美しいふるさとふくしまを取り戻し、活力と子どもたちの笑顔があふれるふくしまを築き上げて、次の世代へと引き継いでいく。そのことが、支援への恩返しとなり、未曾有の震災を経験した本県の役割でもあると考えております。
 この難局を乗り越え、ふくしまの復興・再生を成し遂げるため、全力を尽くしてまいることをお誓いし、年頭のごあいさつといたします。


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