上海人の朝ご飯『四大金剛』

  • 投稿日:2013.01.17
    • 上海の風(スタッフレポート)

 上海人はほとんど自宅で朝食を料理しない。朝、お店で買って持ち帰って食べるか、外食である。ご飯というよりは点心(おやつ)という方が、イメージしやすいかも知れない。上海の朝ご飯にも日本のような定番がある。
  その定番とは『四大金剛(スーダージンガン)』である。元々の中国語の意味は、「四天王」という意味だが、上海では朝食のことを呼ぶと認識されている。さらにこの四大金剛は様々なタッグを組んで、私たちのお腹を満たしてくれる。

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 長男坊の「大餅」(ダービン)「大餅」は小麦粉をこねて、平たく焼いたもので、甘味と塩味の2種類がある。甘味の大餅は小麦粉に少量のごまと砂糖で作られ、熱いうちに食べると、溶けかけの砂糖とさくさくした皮と相まって絶品。塩味の大餅は、ネギが隠し味として使われていて、ちょっぴりしょっぱく香ばしい香りが食欲を誘う。一度に2種類を頬張るのが通の食べ方。

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 次男坊の「油条」(ヨゥティャオ)「油条」は中華風揚げパンで、大餅に揚げたての油条を巻いて食べたり、熱々の豆乳に浸して食べられる。どちらでも捨てがたい。この油条の由来として昔話がある。中国南宋時代の時、当時の権力者 秦桧と妻 王氏が忠臣の岳飛を陥れて殺害したことに、英雄の無念を晴らそうとする庶民が小麦粉を練って棒状にし、秦桧と王氏に見立て、油で揚げたという。結局揚げた「油条」が予想外に美味しくて、今日まで伝承されるようになったと言われている。

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 三男の「豆漿」(ドウジャン) さらに、日本で一大ブームを起こした「豆漿(=豆乳)」。昔の中国では、めったに飲めない牛乳のかわりに愛飲されていた。日本でおなじみのパッケージ豆乳とは違って、朝、各お店で作った熱々の豆漿を茶碗に注いでくれる。こちらも砂糖入りの甘味と、醤油をかけた塩味がある。特に上海人は熱い豆漿に、小さくちぎった油条、ザーサイ、干しえび、ねぎ、海苔を入れた上海風豆漿が大好き、さらにラー油を入れたら、もう最高!

 

末っ子の「粢飯」(ツーファン)最後に、粢飯は中華風餅米おにぎり。こちらも甘味と塩味の2種類がある。本来の粢飯は丸く握られるが、現在では市販の粢飯はなぜか円柱のものばかり。餅米を平たくして、好みによって油条とザーサイか砂糖を入れ、しっかりと丸める。食べ歩きにも最適なので、学生や通勤時間を気にするサラリーマンには大人気。

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 長年にわたり上海人の朝ごはんであった『四大金剛』も売り歩く屋台が減ってきてしまった。また、朝食にファーストフードを食べる若者も増えてきたが、それらファーストフードでも『四大金剛』を扱うようになってきた。販売方法は変われども、上海人に脈々と受け継がれてきた『四大金剛』はいまだ健在である。来る食欲の秋。上海に訪れの際には、ぜひ上海人のソウルフード『四大金剛』を試してみてください。

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福島空港情報マガジンFAP vol.24(2012.8掲載)

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